第12話・ラビット、最後の挨拶はじめにさてさて、今回のお話は今年の1月の出来事なのですが予告通りに今回で学芸員関係の話は恐らく最後となってしまいます!というのも、そろそろネタが尽きてしまいそうなのです(汗) なので、今回は最後の講義の様子を書いてみようと思います。そんな感じで、本編の開始で~す! ある冬の月曜日。 教室に向かうみっつの足取りはとても軽かった。 なぜならば、今日で博物館実習の講義が最終日であり、遂にラビや池、更には白髭やK助教授などの難敵達から合法的にお別れできるので、気分がウキウキしていたのである。 教室に着いたみっつは、ラビの隣の席に座った。 ラビ 「よう、おはよう」 みっつ 「ああ、おはよう。やっと終わりだなぁ。」 ラビ 「長かったよな~!」 みっつ 「ほんとに長かったな・・・。」 しばらく2人とも追憶に思いを馳せていたが、みっつは苦い記憶ばかりが浮かんで来て苦しそうであった。 そこに、 池 「よう!」 と、陽気に池が入って来たが、心なしか少し焦っているようであった。 池 「君達はもう日誌書いたか?」 みっつ 「ああ、書いたよ。だって、今日提出だろ?」 池 「俺、まだ書いてないんだよ~!今、書こうっと!」 といって、池は日誌に向かい始めた。 この日誌とは、博物館実習の講義や見学先の感想を毎回書いておいて時折、提出するという面倒くさい代物であった。 しばらくしてK助教授が入って来て、 K助教授 「今日は日誌を提出して終わりです。」 と、言うのであった。 かなり余裕があったので、予め書いてきたラビとみっつもお互いに日誌を見せ合い最終確認をしていた。そして、ラビの日誌を見ていたみっつがある事に気付いた。 みっつ 「なぁ、ラビ・・・。」 ラビ 「なんだ?俺の完璧な日誌に感銘でも覚えたのか?そりゃあ、参ったな~。君の日誌にサインでも書いてやるか?」 みっつ 「・・・。お前は、相変わらず馬鹿だな~。マジな話なんだが、お前の日誌では11月に近代美術館に行ったって、書いてあるけど、そんなとこに行ったっけ?」 この発言にラビの表情は、見て取れるほど青ざめていった。 ラビ 「え!?確か、行ったはずだぞ・・・。行かなかったっけ?」 みっつ 「行ってないぞ。お~い、池!近代美術館なんて、行ったっけ?」 池 「近代美術館?行ってね~よ!今、話しかけんな!」 と、言いつつ池は必至で日誌に向かっている。 みっつ 「ほらみろ~。どうすんだラビ?行ってない博物館の感想を日誌に書いたままで提出はマズイだろ~。」 ラビ 「ヤ、ヤバイ!どうしようか・・・。そうだ!自主的に見学したことにすればいいんだ!」 みっつ 「でもお前、日誌に集合時間も書いてあるぞ・・・。」 そうなのである。ラビの馬鹿は、行ってもいない博物館の見学の感想を書き、極め付けには行ってもいない博物館の要望として、 [展示はとても良かったと思うが、ただ食堂の値段が高く、一般の人向けにもっとリーズナブルにした方がいいと思った。] と、実にラビらしい意見を書く始末であった。 ここまで具体的に妄想を膨らませられるなんて、ラビはまさにドリーマーである。とはいえ、夢を見るのも仕方ないだろう。ラビにとっての現実は悪夢の日々だからである。 (当然だが、自らの手で事態を悪い方向に持っていっているのだが・・・。) 話を浮世に戻すと、 みっつ 「おいおい!ホントにどうすんだ!?書き直している暇はないぞ!」 ラビ 「う~ん。いいさ~、このまま提出するよ。あのK助教授のことだし、一冊ずつなんてちゃんと見ないだろ。」 みっつ 「そ、そうかもね。」 ラビ 「よし、じゃあ出して帰ろうぜ。」 こうして2人は日誌を提出したのだが、その際にラビがK助教授に対して、 ラビ 「一年間、お世話になりました~!」 と、形式だった挨拶をしているのを見てみっつは、 (また始まった!ええカッコしぃが!大体、さっき悪口を言ったばかりなのに、よく挨拶なんて言えるよな~。ほんとに節操ない奴だ!) と、内心で悪態を付きながらラビを待っていた。 だが、みっつもこれで博物館実習とお別れなので自然と笑みが浮かんでしまうのであった。 そして、 (早く、ラビともお別れしたいな~。) と、ついつい切実に思ってしまうのであったそうな。 という訳で、学芸員編の最終話である第12話「ラビット、最後の挨拶」どうだったでしょうか? 次回からは、去年の年末のエピソードからラビ宅(通称、兎小屋)での鍋パーティーの模様を長編として数話に渡って書いてみたいと思いますので、第13話「海ちゃん、本領発揮!」をお楽しみに~! ※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです。 [総監督・原作・監修] 海ちゃん [脚本・シリーズ構成] みっつ |